甘い醤油を皆さんも一度は食べたことがあるでしょう。特に九州や北陸の一部では甘い醤油が好まれています。でも、そもそもなぜ地域によって甘い醤油が存在して、その地域に根付いているのか?!そんな疑問を持ったことはないでしょうか?
今回は、地域によってなぜ甘い醤油が好まれているのか?甘い醤油の謎に迫りたいと思います!
甘い醤油が苦手なあなたも甘い醤油を毎日のように使っているあなたも、これを読んでもっと甘い醤油の理解を深めて、好きになってもらえたらな、と思います。
Contents
なぜ九州や北陸の地域には甘い醤油が多く存在しているのか?
甘い醤油と聞いて、思い浮かべるのはやっぱり九州地方。
皆さんは、この甘い醤油は好きでしょうか?九州以外の地方出身の方達は食べ慣れていないので、苦手な人も多いかもしれません。
私もなぜ甘い醤油が九州で好まれているのかをしっかり知るまでは、なんとなく苦手なイメージがありました。だって。。お刺身に甘い醤油を付けて食べるなんて。。。関東出身の私にとっては、ビックリな行為だったので。。。
でも、今では納得!甘い醤油の事をしっかり理解した事で、美味しく甘い醤油を使うことが出来るようになりました。
まず、甘い醤油とはどんな分類の醤油になるのでしょうか。
甘い醤油の作り方はこれ!
そもそも甘い醤油は、九州に多いのだけど、九州って醤油蔵が結構多く存在しているんですよね。
もちろん、甘い醤油だけじゃなくて、関東でも使われている濃口醤油だって生産されているし、九州の地域の人たちだって使っています。
甘い醤油の作り方は、この2つのどちらかに分類されます。
- 混合醸造
- 混合
関東にもよくある濃口醤油の場合は、
- 本醸造
まず、本醸造っていうのは、大豆の旨味と小麦の甘味だけで造っていくという作り方。
一方、甘い醤油の混合醸造の場合は、本醸造と作り方のスタートは同じで、大豆と小麦に麹を植え付けて、塩水を入れて、醪(もろみ)にする。この醪になったところに、アミノ酸液を添加して馴染ませて、その後甘味料を添加していくという作り方。
もうひとつの混合という作り方は、本醸造とスタートは同じで、醪を造ってから発酵、熟成させて、絞ってしまって醤油を造っちゃいます。絞った状態を生揚醤油(きあげしょうゆ)というのだけど、この状態まできたら、アミノ酸液や甘味料を添加して甘い醤油にするという作り方です。
甘い醤油は、アミノ酸液も添加されているから旨味もたっぷりだし、甘味料も入っているから、甘い訳だわね。
さて、それでは、なぜ甘い醤油が九州の地域で根付いているのか?というところ。
ひとつずつ見ていきましょう。
長崎に砂糖がやってきた~!説
鎖国時代のお話。。。鎖国令によって貿易は長崎県の出島に限られていた時代がありました。その出島で砂糖を沢山輸入したんだそうです。長崎から佐賀、福岡を通って、大阪や江戸へと運ばれていきました。
その当時、貴重な砂糖でありましたが、比較的、九州の地域では、砂糖が手に入りやすかったと言えるでしょう。
甘い砂糖を入れた料理や調味料は、高級で珍しいものに位置づけられますので、人をもてなすという意味でも醤油にも砂糖を入れて甘い醤油にして使ったのではないか、という説があるようです。
確かに、長崎県に行くと、いろいろな料理の味付けがとにかく甘い!私は、甘い味付けの料理が好きなので口に合うのだけども、長崎県の友達は、家族が糖尿病になるんじゃないかと心配していました。。。他の県に暮らしてみて、はじめて長崎県の料理の味付けが甘いというのを知ったと言っていたわ。。
でも、この甘い味付け、砂糖をいっぱい入れるというのは、おもてなしの行為であって、今もその食文化が生きているってことなんですね。おもしろい。
刺身の鮮度の問題?!説
愛媛の友達が言った。「こんなグニャグニャの鯛なんて、食べられない」と。。。
嘘でしょ?こんなねっとりしている鯛、美味しいじゃないか!と私は思う。
どうやらよく聞いてみたら、愛媛で食べる鯛は、コリコリの食感らしい。
って、言うことで、私も愛媛に食べに出かけたら、本当にその鯛のお刺身は、コリコリと歯ごたえがあって、生まれて初めて食べる食感だったんです。
福岡の友達のところへ行った時に出てきたお刺身も、全部コリコリコリコリコリコリ。。。。。。。?!全部、歯ごたえある。。
最初は、本当にギョ!っとするくらいびっくりした。
この歯ごたえの正体は、鮮度の問題だったんです。新鮮な魚をすぐ裁いて食べると食感がまだ残ってるんですよね。
分かりやすく言えば、魚の死後硬直ってやつ。
江戸前の刺身は、寝かして食べるからちょっと魚の熟成も進んでて、ねっとりしてるんですよね。関東出身の私は、こっちの食感しか知らない訳だ。
それで、この新鮮な食感のある刺身には、甘い醤油がピッタリ合うんですよ!
関東の寝かせた刺身に比べると熟成も進んでないくらいの新鮮な刺身な訳だから、旨味もそこまで乗ってない。だから、この混合醤油には、旨味も甘味もしっかり入っているので、たっぷりつけて食べると、格別に合うんです!
関東にいてもとっても新鮮な魚が手に入った時には、混合醤油(甘い醤油)で食べてみることを本当にオススメします。
関東のねっとり系の刺身には、全く合わないのに、歯ごたえ抜群のコリコリ刺身には超絶に合うんだから、本当に味覚って不思議。そして、食文化って、奥深いですよね。
漁師さんのまかないのため?説
海に囲まれている九州の地域。漁師さんたちも沢山いる訳です。
その昔、漁師さんたちが、海の上の船の中で、簡単に美味しいものを作って食べられるようにと考え出されたのが、甘い醤油だった、という説もあるんです。
確かに、旨味も甘味も添加されている醤油ですから、魚にかけてもご飯は進むし、野菜にかけたって、味も濃くて美味しいですよね。想像がつく。
九州の地域の沢山の人々の暮らしの中から、改良されて、旨味も甘味も強い醤油が作り出されたのかもしれません。
地域の気候による説
九州は、やっぱり温暖な地域です。
東南アジアとかもそうだけど、温暖な地域というのは、甘い味付けが好まれるようです。
なぜかというと、砂糖って、体温を低下させるんですよね。
昔の人たちはそれを経験から知っていて、この温暖な地域には、甘い砂糖が根付いていったのかもしれませんね。
こうやって見ていくと、地域の気候や地域の文化、食の文化や歴史的背景がこの甘い醤油を生み出したということが分かりますね。
それでは、今回の「なぜ地域によって甘い醤油が好まれるのか?甘い醤油の謎に迫る!」についてまとめていきます。
なぜ地域によって甘い醤油が好まれるのか?甘い醤油の謎に迫る!まとめ
- 鎖国令により長崎から大量に砂糖が輸入されたので、九州の地域では、昔、砂糖が比較的手に入りやすかった。
- 鮮度のよい刺身を食べる食文化により、旨味や甘味が添加された醤油が合うというところから出来上がった。
- 漁師さんたちが船上ですばやく美味しい料理ができるようにと改良されて出来上がった。
- 温暖な地域の人々は、甘い味付けを好む傾向にある。砂糖は、身体の体温を低下させる。これを昔の人は経験から知っていたのではないだろうか。
甘~い醤油の物語のおまけ
甘い醤油にあまり馴染みのない関東出身の私ですが、私が甘い醤油の使い方でとても好きな食べ方があるんです。それは、
- 甘い醤油を納豆に入れて食べるべし!
甘い納豆なんて。。。。と思われるかもしれませんが、これ、本当に美味しいです。関東の納豆のタレって、濃くて塩辛いのばかりですからね。納豆好きの甘い醤油初心者の方には、とってもオススメです!
あと、鹿児島に行ったときの話。。
鹿児島のお店で刺身を注文して、「醤油下さい」って、店員さんに言ったら、甘い醤油が出てきました。私、そのとき、どうしても濃口醤油で刺身を食べたかったので、店員さんに「濃口醤油、下さい」って言ったら、「キッ○ーマンですか?」と聞き返されたんです。
甘くない醤油が欲しい時は、そう言ったらいいんだなぁとカルチャーショックを受けたという話。(偏見ではないですよ~)
行ってみないとわからない、食べてみないとわからないもんですね。
是非、参考になさってみて下さいね。
それでは、皆さん、良い熟成を・・・
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