柿酢の白い膜は、○○菌のコロニーの集合体なのか?それは違うんじゃないかという私の見解。

「柿酢を造っている最中に出てくる白い膜って、発酵菌のコロニーの集合体なんですか?」という質問をされた。「発酵菌のコロニーの集合体?!何のこと??」よく聞いてみたら、ネット検索なんかをすると、柿酢の発酵中にできてくる白い膜みたいのは、○○菌のコロニーの集合体である、って書いてあったということなのです。

早速、私もいろいろネットで検索してみたら、確かに「柿酢の白い膜の正体は、酵母菌のコロニーの集合体なので、大丈夫です。」だとか、「それは、発酵菌のコロニーの集合体です。」だとか、「酢酸菌のコロニーの集合体です。」・・・・

出てくる。出てくる。。。汗

柿酢造りの時に出てくる白い膜は、○○菌のコロニーの集合体。なんて、言い方はしません!!!キッパリ!

スポンサードリンク



今回は、柿酢の発酵中の「白い膜」の本当の正体について書いていこうと思います。

ちょっとマニアックな話でごめんなさいね。。

柿酢の白い膜は、○○菌のコロニーの集合体なんて言い方は、しないのである

私は理系大学出身ではないのですが、過去にバイオ系の研究室で実験のお手伝いを様々してきた経験があります。いろいろな研究室でいろんな種類の微生物を培養したりもしてきました。今でもその頃の研究室での仲間とも交流があり、その仲間たちは、もちろん理系出身の微生物のプロたちなので、今回のこの件の話も聞いてみましたが、みんな口を揃えて、

「○○菌のコロニーの集合体なんて言い方は、しないわ。。。」

やっぱりそうよね。正式には、そんな言い方しないよね。じゃ、あの白い膜をなんて説明すればいいのか、私なりに答えを出してみようと思う。

だいたい、コロニーって、何よ?!

まずは、このコロニーっていうキーワードを解説してみます。

細胞生物学的(細胞目線)にいうと、コロニーっていうのは、一つの細胞が増えた塊をコロニーって呼びます。

私も経験があるのだけれど、例えば、シャーレに寒天状になる培地を作って(要は、微生物が好きな栄養分たっぷりの寒天。畑に例えたら肥料たっぷりの土ってこと)そこに、ある菌を植えるとする。

ある一定の保存管理下で培養を進めると、シャーレの中の寒天培地に、ポツポツと点々と水玉みたいに菌の集合体が出来てくる。それをコロニーと呼ぶんです。何日目にコロニーが何個できた~、とかコロニーをカウントしたりするんです。

だから、細胞生物学的に考えると、白い膜が張っているものに対して、コロニーの集合体っていう言い方はしないんですよね。

しかもコロニーっていうのは、「集合体」とか「群衆」とかいう意味があるんです。

コロニーの集合体=集合体の集合体?!←なんのこっちゃ。

でもですね、これが、生態学的に観点を変えてみると、(生態学というと、人や動物、植物の生態というように、細胞生物という細かい観点からではなくて、もっと大きく地球レベルで見るということ)ちょっと意味が変わる。

ある1種類のカビだったり菌類が集団となって集まっている状態をコロニーと呼ぶんです。

そりゃ、大きな観点から言えば、そう言える。とも言えますよね。だから、ネット検索で出てきている「コロニー」という単語を使っている部分に関しては、その人が大きな観点から見たところから、そんな表現になっているのかもしれないから、全否定はできない。いろいろな観点からの表現はあるからね。否定はしません。

ただ、白い膜なのだから、やっぱり違う言い方になるのではないだろうか。。。

その白い膜は、なんなんだ?!

あの柿酢を仕込んだ後に、2日に一回混ぜながら、アルコール発酵を促す段階にこの白い膜が張ることがある。

柿酢の発酵中に出てくる白い膜は、産膜酵母です!!!

コロニーとか集合体とかそういう事じゃなくて、産膜酵母と言います!

第一段階目の柿酢のアルコール発酵中は、液体の中にも酵母菌はいっぱいいます。酵母菌って言ったって、1種類だけじゃないんです。

産膜酵母というのは、液体表面では膜状に発育するものもあります。

一般的に柿酢造りの最中の液面に出てくる白い膜というのは、産膜酵母であり、しかもピキア属の可能性が高いのです。

だから、私的には、

「柿酢の発酵中に出てくる液面に出てくる白い膜は、ピキア属の産膜酵母である可能性が高いです」

という見解です。

この産膜酵母は、無害です。ですから、出てきたとしても液中に混ぜ混ぜしちゃって大丈夫です。産膜酵母が出てきてるって事は、しっかり発酵が行われている証拠でもありますので、安心して熟成を進めていって下さい。

ただし、液面に黒とか青とか赤とか、色とりどりの菌が発生した場合は、アウトです!混ぜちゃダメ~!

それは、腐敗菌です。。。残念ですが、捨てて、新しくやり直しした方がいいです。そうならないように、仕込んだ後は、よく柿酢の発酵の様子を見て、せっせと混ぜ混ぜしてあげるようにしてあげて下さいね。

スポンサードリンク



柿酢の白い膜は、何?~まとめ~

柿酢の発酵中の白い膜についてまとめます。

ネット検索などでは、「白い膜は、○○菌のコロニーの集合体です」という表現が多いのですが、私の見解は、

「柿酢の発酵中に出てくる液面に出てくる白い膜は、ピキア属の産膜酵母である可能性が高いです」となります。

産膜酵母は、無害ですので、液中に混ぜても大丈夫です。しっかり様子を見ながら、混ぜて発酵を促してあげましょう。

でも、液面に黒とか青とか赤とか、色とりどりの菌が発生した場合は、腐敗菌の可能性大なので、残念ですが、勇気を持って諦めて、新しく仕込み直すことをオススメします。

柿酢を仕込んだ直後は、様子をよく見てあげながら、しっかり攪拌するようにしてあげましょう。

合わせて読むともっとマニア→渋柿で作ろう!柿酢の作り方。ドライイーストの力で簡単にできる。

柿酢にイースト菌を入れるとどうなるの?微生物の働きを優しく解説します。

柿酢の発酵熟成中。。このカビは、大丈夫?!の不安に答えます。

柿酢造りの温度は何度が最適?発酵マニアも初心者も知っておくべし!

皆様、良い熟成を・・・・

ブログランキングの応援よろしくお願いします!

   にほんブログ村 料理ブログ 料理研究家へ

スポンサードリンク