私たちが当たり前のように食べている食品には、酵母菌が関わってきている食品がとても多いんです。
一番イメージしやすいのは、パンですかね。酵母菌のおかげで、パンは膨らんでいますよね。それに、調味料の代表的な味噌や醤油だって、この酵母菌がいなければ、美味しくならないし、あの良い香りも生まれてこないのです。
酵母菌は、私たちにとって、とても身近な存在の微生物なんですよ。
今回は、私たち人間にとって、ありがたい酵母菌について、詳しくみていくことにしましょう。
沢山の微生物がいる中で、酵母菌とはの大きさってどれくらいなのか?酵母菌とは、そもそもどんな働きをする微生物なのか?酵母菌の基本的な特徴などについてを書いていこうと思います。
Contents
酵母菌とはどんな菌?細胞の大きさや特徴をまとめてみます。
まずは、酵母菌がどんな菌なのかについてを解説していきます。
酵母菌は、真菌で単細胞の微生物です。運動性はなく、細胞壁を持っています。どんな形をしているかというと、特徴のない円のような楕円形のような、そんな形をしています。
酵母菌は、栄養を外部の有機物を分解吸収します。
こんな特徴がある微生物を、ひとまず「酵母」として考えるんですね。
酵母菌は、出芽や分裂をして増殖していきます。
酵母菌の種類は、どれくらいあるのかというと、現在では、約40属、350種類もあると言われています。
なんだか、単細胞だし、ボ~っとしているイメージなので、てっきり酵母の種類なんて少ないと思ったら、結構あるんですよね。
パンを膨らませたり、ワインや日本酒、味噌や醤油など醸造にも酵母菌は使われていて、もちろんその都度、種類は変わってくるということなんです。
酵母菌を使用した発酵系のコスメなんかもありますね。
では、具体的に酵母菌がどんな風に働いているのかをもう少し詳しく見ていきましょう。
酵母菌とは、どんな風に働いているの?
酵母菌の働きとしては、おおきく分けて2つあります。
- 嫌気性の環境下(酸素がない状態)
- 好気性の環境下(酸素がある状態)
酵母菌がすごいのは、酸素があっても、なくても、どちらの環境下でも働くことが出来るってことなんです。単細胞でボーっとしてると思ったのに、意外と働き者なんですよね。
まず、代表的な働きは、嫌気性の状況下での酵母菌の働きです。酸素がない状態で、酵母菌はどうやって働くかというと、
- 嫌気性の状況下では、酵母菌は、アルコール発酵をして、二酸化炭素とエタノールを排出します。
例えば、味噌を作ったとしましょう。味噌玉を樽に詰め込んで、表面を平らにしたら、味噌の表面に密着させるようにラップをします。フタを閉めて、3ヶ月くらい熟成した後に、気になってフタを開けてみます。
すると、そのラップが浮き上がっていた経験はありませんかね?それは、酵母菌の仕業なんです。味噌玉をきっちり詰め込むという事は、酸素のない環境下を作っているということなんです。嫌気性の状態なので、もちろんそのときの季節や温度などの関係もありますが、酵母菌が働き、二酸化炭素を出したので、ラップが少し浮き上がってしまった、ということになるんですよね。
しかも、そのラップをはずしてみると、ふんわりと味噌の香りもかすかに漂うと思います。1年も熟成すれば、しっかり味噌の香りがついてきます。その香りの原因は、酵母菌による嫌気性の働きによるもの。
香りの元となるエタノールがポイントになってきます。
嫌気性の状態で、酵母菌がエタノールを排出してくれるので、味噌はしっかり味噌の良い香りがするんです。
ですから、手作りで味噌を作ったら、樽に詰める時には、必ず、嫌気性の状態にしてあげないといけないということなんですよ。もし、適当に詰め込んでしまったら、酵母菌は、嫌気性の状況下ではないので、しっかり増殖できずに、エタノールを排出してくれないかもしれませんし、その隙間から香りの元となるエタノールは蒸発して飛んでいってしまって、風味の少ない味噌になってしまう。
もちろん、しっかり樽に詰めなければいけない理由は、他にもあるのですが、酵母菌の働きだけに着目すると、その工程は、とても重要な工程になるという訳なんです。
例えば、パンを作ると考えてみてもそうです。
パンは、イースト菌(酵母菌)を入れてから、しっかり捏ねて、ひとつにまとめますよね?
捏ねてから小さくバラバラにちぎって発酵させる、なんてことしませんよね?
あれも、酵母菌を嫌気性の状況にしてあげているんです。
ひとつにまとめて、丸めたパン生地は、膨らんでいきます。膨らんでいくということは、酵母菌が嫌気性の環境下で働いて、二酸化炭素を出してくれているからなんですね。
パン生地が膨らんでくると、香りをかいでみると、フワッとアルコール臭を感じたことはありませんか?パン生地を発酵しすぎてしまった場合なんかは、特にアルコール臭がとてもしますよね。
あれが、酵母菌が嫌気性の環境下で生成したエタノールの香りってことになるんですよ。
この酵母菌による嫌気性の働きというのは、私たち人間にとっては、昔からとても密接です。日本人だけではなく、外国でも、この酵母菌の嫌気性の働きを使って、食文化は発展してきた訳です。
では、次に酵母菌の好気性による働きです。
- 好気性の状況下では、酵母菌は、ビタミン合成をする。
酵母菌は、酸素がある環境では、ビタミン合成をしてくれるんです。
でも、この働きを使っている人種は、非常に少ないと言っていいです。外国では、まず聞いたことはないですね。
でも、日本人は、昔から、この酵母菌の好気性の働きをしっかり味方につけていたんです。
それは、「ぬか床」です!
ぬか床は、もちろん、他の酪酸菌や乳酸菌などの微生物たちとのバランスというものもあって、成り立っているものですが、酵母菌もしっかりここで好気性の働きでがんばっているんです。
酵母菌は、空気中にも浮遊していますので、その酵母菌たちがぬか床の表面に落ちていきます。野菜などを漬ければ、野菜の表面に酵母菌が付着だってしていることでしょう。
毎日、ぬか床をしっかり混ぜてやって、酵母菌を酸素のある状態にしてあげていることで、ビタミン合成を促してあげているんです。
もちろん、ぬか床を毎日混ぜるという工程は、酵母菌のためだけではないのですが、でも、混ぜるという工程によって、酵母菌が、好気性の働きをして、しっかりビタミン合成してくれているので、私たち日本人にとっては、嬉しい産物になるっていうことですよね。
こんな風に、酵母菌は、嫌気性の状況下でも、好気性の状況下でも働くことが出来る特徴を持っているのです。
単細胞なのに、なかなかやるんです笑
酵母菌の大きさって、他と比べるとどれくらいなの?
微生物っていうと本当にいろいろな種類がありますよね。テレビでだって、○○菌が身体に良いだとか、しきりにやっているし。
これらの微生物が一体どれくらいの大きさなのか、酵母菌って、どれくらいの大きさがあるのかを比べながら、書いていきたいと思います。
まず、微生物って一言に言ってもいろいろな種類があるんです。
よくテレビでやっているような一般的な微生物についての大きさを比べていってみましょう。
- 酵母菌
- 大腸菌
- インフルエンザウィルス
皆さんがよく聞くような、微生物たちだと思います。この3つとも大きさが全く違うんですよ。
- 酵母菌(菌類)
胞子の大きさ5~12μm(マイクロメートルは、1mmの1000分の1)です。目には見えませんが、色があるような胞子や菌糸であれば、繁殖した状態だったら見ることができます。
酵母菌は、菌類、真菌という分類になってきます。他に、餅に生えてしまうアオカビだったり、風呂場に出来ちゃった黒カビなんかもこの分類になってきます。
酵母菌は、微生物の中だと大きい分類になるんですよね。
- 大腸菌(細菌)
細菌は、0.5~5μm前後です。菌類よりも一桁小さい。
大腸菌は、細菌の分類です。菌類とは違って、細胞内に核がない原核生物です。細菌の仲間は、納豆菌やサルモネラ菌など。
- インフルエンザ(ウィルス)
ウィルスは、100nm(ナノメートル、1μmの1000分の1)。本当に小さな粒子です。
菌類と細菌は、細胞を持ち合わせているのですが、ウィルスは細胞がないので自己増殖はできません。
ですから、他の生物の体内の細胞に侵入して、そこで増殖をするんです。こわ~い。。
免疫力を上げてないと、簡単にやられてしまいますね。。。
このように、微生物と言っても大きさが全然違うんですよね。
酵母菌は、微生物の分類では、大きい分類に属しています。
今回は、酵母菌の特徴から働き方、酵母菌の大きさまでを書いていきました。少し、酵母菌に詳しくなってもらえたかしら?
それでは、今回の記事をまとめていきましょう。
酵母菌とはどんな菌?細胞の大きさや特徴をまとめてみます。~まとめ~
<酵母菌の特徴>
- 酵母菌は、真菌で単細胞の微生物です。運動性はなく、細胞壁を持っています。どんな形をしているかというと、特徴のない円のような楕円形のような、そんな形をしています。
- 酵母菌は、栄養を外部の有機物を分解吸収します。
- 酵母菌は、出芽や分裂をして増殖していきます。
- 酵母菌の種類は、どれくらいあるのかというと、現在では、約40属、350種類もあると言われています。
<酵母菌の働き>
- 嫌気性の状況下では、酵母菌は、アルコール発酵をして、二酸化炭素とエタノールを排出する。
- 好気性の状況下では、酵母菌は、ビタミン合成をする。
<酵母菌の大きさ>
- 胞子の大きさ5~12μm(マイクロメートルは、1mmの1000分の1)です。目には見えませんが、色があるような胞子や菌糸であれば、繁殖した状態だったら見ることができます。
私たち人間は、目には見えない微生物たちと共存しています。この微生物たちによって、生かされているといっても良いくらい、とても密接な関わり合いがあるんですね。
皆様も良い熟成を・・・・
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